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東京訴訟 裁判情報

2019.10.18

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東京訴訟第3回期日報告!

●「婚姻の自由をすべての人に」東京訴訟第3回口頭弁論期日報告

 

日 時:2019年10月16日14時30分から15時30分

場 所:東京地方裁判所第103号法廷

裁判官:田中寛明裁判長、寺内康介裁判官、吉原裕貴裁判官

内 容:

1.書面提出

【被告】第2準備書面(婚姻制度の由来・沿革・趣旨・目的等について)を陳述、証拠の取調べ(乙1~8)

【原告】第2準備書面(社会事実の変化等について)を陳述、第3準備書面(被告第1準備書面に対する反論)を一部訂正の上で陳述、第4準備書面(原告ただしの個別事情について)を陳述、証拠の取調べ(甲A85~118、119~183、甲D2)

 

2.原告ら訴訟代理人からの意見陳述

提出書面の確認の後、原告ら代理人弁護士から、原告の憲法上の主張について、骨子以下のような意見陳述を行いました。

①憲法24条1項が「両性」という文言を用いていることだけから、「憲法は同性間の婚姻を想定していない、だから同性間の婚姻を認めていない現行法は合憲」という結論を導く国の主張が誤りである(熊澤弁護士)

(理由)

●憲法24条1項の文言のみに拘る被告の主張は、過去のいろいろな事件の最高裁判例に照らしても、憲法を解釈する方法として誤りであること

●社会の変動を考慮しない解釈方法は誤りであること

●仮に、憲法制定当時は婚姻の自由の主体として同性カップルが想定されていなかったとしても、同性愛等がかつては異常・逸脱とされたがその考えが完全に否定されたという歴史的事実や結婚を生殖のためと考える意識が大きく変化し家族生活における個人の尊厳を重視する意識が広がっていること、国際的趨勢等の「社会の変動」によって憲法の条項の意味が変化している

②同性間の婚姻を認めないことは憲法14条1項に違反する差別である(寺原弁護士)

(理由)

●性的指向という自らコントロールする余地のない事柄ないし属性を理由として不利益を課すことは許されない

●パートナーとの人格的結びつきの安定化という婚姻の意義・目的は同性カップルにも妥当する

●婚姻に伴う法的効果の中に、異性カップルであることが理論的に要請されるものは存在しない

●国が同性間の婚姻を認めないことが、同性カップルに「社会が承認しない関係性」というスティグマを与え、同性愛者等の尊厳を傷付け続けている

 

3.原告ただしさんの意見陳述

次に、原告のただしさんからの意見陳述が行われました。ただしさんのこれまでの人生やパートナーである原告かつさんとの生活などが紹介されると共に、その人の変えることの出来ない属性によって、自分の好きな人と結婚することができないような時代はもう終わりにしたい、「誰もが自由に、未来を思い描ける社会」にしたいというただしさんの強い思いが、裁判所に届けられました。

→より詳細なただしさんの意見陳述はコチラ

 

4.被告第2準備書面について、原告代理人から被告である国の指定代理人に対して、今後、現在における婚姻の目的・機能がどうなっているかについての主張を追加する予定があるのかを確認しました。これに対し、指定代理人からは、第2準備書面は裁判所からの釈明に答えたものであって、被告として現時点で必要な主張は既に行ったと考えており、裁判所から更なる釈明がない限り、追加の主張の予定はない、との回答でした。

 

5.裁判所から原告代理人に対し、法律上同性の者との婚姻を認めない現行法の規定が憲法24条1項及び同14条1項違反であることが明白(判例が立法の不作為に対して損害賠償を認める要件の1つです。)になった時期について、原告は「2018年9月より相当前」と主張しているが「相当前」とは具体的にいつ頃を指すのかという質問がありました。原告からは、次回期日以降にこの点を明らかにする予定です。

 

6.そのほか、今後の訴訟の進行スケジュールについての確認が行われました。次回期日は2020年2月3日、次々回期日は同年5月13日に予定されています。現在の進行スケジュールとしては、次々回期日までの間に、原告の主張を更に補充していくことになっています。

 

次回期日

2020年2月3日14時30分(第4回口頭弁論) 東京地方裁判所第103号法廷

原告らとしては、次回期日までに、

①同性間の婚姻を認めない現行制度が憲法24条2項にも違反することを主張する書面

②被告第2準備書面に対する反論書面

③原告(1名を予定)の個別事情に関する書面

をそれぞれ提出することを予定しています。

 

被告からの書面提出は予定されていません。

 

また、原告代理人から裁判所に対し、次回期日において、原告のうち1名の意見陳述を行いたい旨を申し入れています。裁判所は期日間に検討するとのことですが、本日の原告ただしさんの意見陳述を見ても明らかなように、原告ご本人の意見を裁判所に届けることは非常に重要ですので、原告代理人としては是非実現させたいと考えています。

 

第3回口頭弁論期日も傍聴席は満席でした。本当にありがとうございます。皆さまの傍聴が大きな力になります。次回第4回口頭弁論期日にも是非傍聴にお越し下さい。

 

●期日報告会

今回も、期日終了後に、弁護士会館(2階講堂クレオ)で期日報告会を開催しました。

はじめてクレオという大きな講堂で開催しましたが、大勢の方にご参加いただきました(裁判傍聴の有無等にかかわらず、どなたでもご参加いただけます。)。

(期日報告会会場の様子)

 

期日報告

まず、弁護団から口頭弁論期日の内容や提出された書面の内容について報告しました。また、本日意見陳述を行っていただいた原告ただしさんから、どのような思いで意見陳述を行ったかをお話しいただきました。

(ただしさん)

(左から、ただしさん、榎本弁護士、寺原弁護士、熊澤弁護士)

 

ただしさん以外の原告の皆さんからも期日の感想を述べていただきました。

原告佐藤さんからは、「婚姻は男女のもの」と切って捨てるような内容の被告第2準備書面に対する怒りの感想が述べられました。

また、原告小野さんからは、原告ただしさんの意見陳述を聞いた感想として、一人一人の思いや人生を裁判所に対し伝えることの重要さを再認識された旨が述べられました。

(左から、上杉弁護士、加藤弁護士、小野春さん、佐藤郁夫さん)

その後、弁護団から、今後、新たに憲法上の主張として、憲法24条2項違反の主張を追加する予定であること及びその狙いの説明をしました。

 

同性婚導入に憲法改正が不要なことについて

また、弁護団からは、最近ニュース等で同性婚導入のための憲法改正の議論が取り沙汰されている点について、

①現行憲法は同性婚を禁止しておらず、同性婚の法制化に憲法改正は必要ないこと

②それは大多数の憲法学者や日本弁護士連合会の見解でもあることを説明し、

③「価値観や生活形態が多様化し、婚姻を男女間に限る必然性があるとは断じ難い状況となっている」と判示した最近の裁判例(宇都宮地裁真岡支部2019年9月18日判決)が、「憲法24条1項が『婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し』としているのも、憲法制定当時は同性婚が想定されていなかったからにすぎず、およそ同性婚を否定する趣旨とまでは解されない」と明示したことのご紹介も行いました。

 

参加者との質疑応答

その後、参加者の皆さんとの質疑応答がありました。主に以下のような、熱心なご意見・ご質問をいただきました。

①今後どのような立証を行うのか(どのような専門家の意見書を出すのか)

②裁判長から原告に対し質問があった「相当前」の点について

③今後の訴訟スケジュールについて 等

 

動画配信とYoutubeチャンネルのご紹介

期日報告会の様子は、Youtubeの「マリフォーチャンネル 〜結婚の自由をすべての人に〜 同性婚・婚姻の平等」から動画でご覧いただくことができます。(同チャンネルでは、他にも、「結婚の自由をすべての人に」訴訟に関する様々な動画コンテンツが随時配信されていますので、是非チャンネル登録をお勧めします!!!)

 

※当日、撮影機材の不具合があったため、上記YouTubeチャンネルの動画では、本日の期日報告会前半の動画が欠けています。完全版は、コチラからご覧いただけます。

 

次回以降も、毎回期日報告会は開催いたしますので、ぜひ奮ってご参加ください。

 


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