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愛知訴訟 裁判情報

2022.06.25

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【愛知訴訟】第12回期日報告!

「結婚の自由をすべての人に」愛知訴訟弁護団より、6/17に開かれた第12回期日の報告をいただきましたので共有いたします!


●「結婚の自由をすべての人に」愛知訴訟第12回期日報告

日 時:2022年6171100

場 所:名古屋地方裁判所 第1号法廷

裁判官:西村修裁判長 藤根康平裁判官 梁川将成裁判官

内容:

●愛知訴訟 本日の内容 原告は、憲法24条の解釈について、憲法学者である渋谷秀樹教授の意見書を提出しました。 また、原告は、原告本人のほかに、関係者や専門家の尋問を実施すること、その日程を決めることを求める進行に関する意見書を提出しました。 対する被告国は、原告の憲法24条、14条に関する主張に対して、反論をしました。 この被告の反論に関して、原告は、「憲法24条は同性カップルを層手していない」という主張の法的な意味を明らかにするという裁判所からの宿題に、明確に回答していないのではないか、という質問をしました。

1. 裁判官の交代、弁論の更新

担当裁判官のうち植村一仁裁判官が、藤根康平裁判官へ交替しました。これに伴い、これまでの口頭弁論の結果を陳述することを確認しました(弁論の更新という手続です)。

 

2. 提出書面・証拠の確認

●国準備書面5 位置づけ 国準備書面5の位置づけは、原告の最近の主張へまとめて反論するというものです。 前提として、原告の最近の主張は、 ①戸籍上同性だと結婚できないのは憲法24条が保障する「結婚の自由」を侵害している ②戸籍上同性だと結婚できないのは憲法14条が保障する「法の下の平等」に違反している ③2021年札幌地裁判決も14条違反を認めている ④婚姻制度の目的は、親密な人格的結合に基づく共同生活の法的保護や、個人的な生活領域を保護することになる。その目的は、戸籍上同性のカップルにも打倒する。 というものです。

原告は、憲法24条違反の主張を裏付ける証拠として、憲法学者である渋谷秀樹立教大学名誉教授の意見書を提出しました。

対する被告国からは、第5準備書面が提出されました。これは、原告の最近の主張へまとめて反論する内容になっています。

【原告①】  戸籍上同性だと結婚できないのは憲法24条が保障する「結婚の自由」を侵害している。  【被告の反論】   ・婚姻および家族に関する事項は、国の伝統や国民感情を含めた社会状況における種々の要因を踏まえつつ、それぞれの時代における夫婦や親子関係についての全体の規律を見据えた総合的な判断を行うことによって行う。 あくまで異性間の人的結合関係を対象とすることを前提に法整備を要請するもの。  ・同性の場合にどうするかは、民主的なプロセスに委ねられるべき

まず、戸籍上同性だと結婚できないのは憲法24条が保障する「結婚の自由」を侵害しているという原告の主張に対して、被告から反論がありました。

被告は、婚姻および家族に関する事項は、国の伝統や国民感情などの社会状況における種々の要因を踏まえつつ、それぞれの時代における夫婦や親子関係について全体の規律を見据えた総合的な判断を行うことによって定められるべきであると述べ、憲法24条はあくまで異性間の人的結合関係を対象とすることを前提に法整備を要請するものだと主張しました。また、被告は、同性カップルについては、民主的プロセスに委ねられるべきだと主張しました。

【原告②】   戸籍上同性だと結婚できないのは憲法14条が保障する「法の下の平等」に   違反している。   【被告の反論】   ・性的指向につき中立的な本件規定から生じる事実上の結果ないし間接的な効果にすぎない  ・同性婚にかかる権利利益の性質は憲法や法制度で認められたものではない。  ・婚姻類似の人的結合関係を構築して維持したり、共同関係を営んだりする行為が制約されるわけでもない。  ・国には広い裁量がある。

次に、戸籍上同性だと結婚できないのは憲法14条が保障する法の下の平等に反しているという原告の主張に対して、被告から反論がありました。

被告は、同性婚が制度化されていないのは、性的指向について中立的な民法・戸籍法の規定から生じる事実上の結果ないし間接的な効果に過ぎず、同性婚にかかる権利利益の性質は憲法や法制度で認められたものではない、また、婚姻類似の人的結合関係を構築して維持したり、共同関係を営んだりする行為が制約されるわけではない、国には広い裁量がある、などと述べて反論しました。

【原告③】   2021年札幌判決も14条違反認めたよ!    【被告の反論】   ・札幌地裁の判断は誤り!  同性愛を精神病理とみなしていたことを理由に同性カップルが婚姻制度から排除されたという認識を前提にしているけど、前提が違う。  現在の民法をつくるときに、同性カップルを含めるか排除するかなんてそもそも議論してない。 

さらに、札幌地裁判決でも憲法14条違反を認めたという原告の主張に対して、被告は、札幌地裁判決は、同性愛を精神病理とみなしていたことを理由に同性カップルが排除されたという認識を前提にしているが、現在の民法をつくるときに、同性カップルを含めるか排除するかについてはそもそも議論されていないのだから、札幌地裁判決は前提から違っており、その判断は誤っていると反論しました。

最後に、婚姻制度の目的は、親密な人格的結合に基づく共同生活の法的保護や、個人的な生活領域を保護することにあり、その目的は戸籍上同性のカップルにも妥当するという原告の主張に対し、被告から反論がありました。

原告④】   婚姻制度の目的は、親密な人格的結合に基づく共同生活の法的保護や、   個人的な生活領域を保護することにある。   その目的は、戸籍上同性のカップルにも妥当する。   【被告の反論】   ・伝統、慣習、法的効果が、生殖に結びついて理解される異性間の人的結合関係を前提とした制度として婚姻を定めている。 ・1対1の男女が子を産み育てることが社会を支えているし、その関係性には歴史的に形成された社会的承認が存在している。この目的には合理性がある。

被告は、伝統、慣習、法的効果が、生殖に結びついて理解される異性間の人的結合関係を前提とした制度として婚姻を定めているところ、一対一の男女が子を産み育てることが社会を支えているし、その関係性には歴史的に形成された社会的承認が存在しているのだから、この目的には合理性があると反論しました。

 

3. 進行の確認

原告から、今後の進行に関する意見書を提出したところ、78日に進行協議期日が入り、尋問期日など全体のスケジュールについて協議することになりました(傍聴ができない、非公開の期日です)。

次回の弁論期日は104日に決まりました。原告側は、次回弁論期日までに、原告の個別事情に関する主張書面、被告第5準備書面に対する反論の書面、憲法24条違反に関する専門家意見書に基づく主張書面や、原告らの陳述書、原告らの関係者の陳述書など、さまざまな主張書面・書証を提出する予定です。

今回提出された書類は、Call4の「結婚の自由をすべての人に訴訟(同性婚訴訟)」で公開されているのでご覧ください。

 

4. 次回の裁判の日程調整

次回期日

202278日(金)1000分(進行協議期日・非公開)

2022104日(火)1100分(第13回口頭弁論)

名古屋地方裁判所 第1号法廷

第1号法廷は、名古屋の裁判所で一番大きな法廷です。前回までは、傍聴席が間引かれて、傍聴人同士が接近しないように配慮されていましたが、第12回口頭弁論期日ではこの措置が解除され、多くの方に傍聴席を埋めていただきました。

次回期日では傍聴席を満席にできるよう、さらに多くの方に傍聴へお出かけいただけるのをお待ちしております!

 

●期日報告会

期日と同じ日の午後7時から、弁護団の矢﨑暁子弁護士の司会により、WEBでの期日報告会が開催されました。

まず、愛知訴訟弁護団の水谷弁護士から、準備書面の内容や期日でのやり取りについて、詳細な報告がありました。今回の期日報告でも、ゲストとして、風間孝さん(NPO法人PROUD LIFE)をお招きして、今回の期日の内容について、質疑応答や意見交換を行いました。

また、5月14日に名古屋・栄で開催されたレインボープライドについて、水谷弁護士から報告がありました。当日のスタッフさんからは、同性婚が認められないために強いられる犠牲、不利益、精神的苦痛を訴え、一刻も早い同性婚実現を求める切実な声と応援メッセージが数多く寄せられました。

最後に、620日に判決を控えた関西訴訟や、1130日に判決を控えた東京第1次訴訟について、再度アナウンスがありました。視聴者の方からも、ご質問や応援のメッセージをたくさんいただき、大いに盛り上がった期日報告会となりました。

報告会は、Youtubeのアーカイブ動画となっていますので、ぜひご覧ください(https://www.youtube.com/watch?v=tBsmsIMM3rE )。

次回以降も、期日報告会は開催いたしますので、今回参加できなかった方も、ぜひご参加ください。新型コロナウイルスの感染状況によりますが、次回は現地開催も検討しておりますので、傍聴に来ていただける方はぜひ期日報告会もご予定下さい。


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