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5年に1度の国勢調査、国はデータ付け替えしないで下さい! 同性カップルの存在を数で示そう【レインボー国勢調査2025】

 9月20日から国勢調査のウェブ回答が始まります。10月1日時点の世帯の実態を回答する義務があります。

 前回2020年までは下記のように「配偶者」「同性」と回答すると「他の親族」との同居と勝手に付け替えられて集計されてきたため、私たちは付け替えしないように求めてきました。
 今回も付け替えで集計されるかどうかは不明ですが、国は初めて「続き柄はそれぞれの判断で、ありのままに回答して下さい」と明言しました。同居同性カップルの数を示すために、胸を張ってありのまま回答しましょう。

国勢調査の回答用紙
氏名及び男女の別について1人目,2人目をいずれも女とした上で、世帯主との続き柄を1人目は世帯主または代表者、2人目を世帯主の配偶者とし、さらに、配偶者の有無を、1人目と2人目ともに配偶者ありにして回答している。なお、配偶者の有無の欄には、「届出の有無に関係なく記入してください」との説明がある。

インターネット回答を既にしてしまっていても、与えられたログインIDと、入力完了後に作成を指示されるパスワードの両方があれば、10月8日まで修正できます。

 

今回はこの回答で良いと明言!

 前回2020年では、総務大臣が「”他の親族”との同居世帯として集計する」と付け替え方針を明言し、ありのままの回答をデータ保存するか否かさえ明らかにしませんでした。しかし今回は社会と司法の変化を反映して、総務省統計局は「世帯自らが判断した続き柄で回答して下さい」と、国会にて明言しました(1)

2025年3月12日 参議院予算員会で国が初めて実態で答えていいと名言 石川大我参議院議員(当時)の質問「同性パートナーを持つ人が一方が世帯主、もう一方が配偶者と回答してもいいという理解でよろしいでしょうか」 総務省統計局統計調査部長の回答「いわゆる同性パートナーについては(中略)お住まいの世帯の方が判断された続柄でご回答いただくこととなっております。ありのままにご回答いただければ、という趣旨でございます」

 集計については明らかにされていませんが、事実婚男女も同様の回答で婚姻カップルとして数えられるのですから、結婚したくてもできない同性カップルが図のように回答するなら、婚姻同等の世帯として数えられるべきです。

 

先を行く自治体も要望

 2020年国勢調査では、26の自治体から我々の主張に賛同(2)を頂きました。

 そして、今では、人口の約93%が暮らす530以上の自治体でパートナーシップ制度やファミリーシップ制度が実施されています(3)。また、同性パートナーに住民票上「夫・妻(未届)」の続き柄を男女事実婚配偶者同様に適用することが、長崎県大村市にはじまり、さる8月26日には東京都品川区も導入決定。全国で12自治体が既に導入、さらに5自治体に広がる見込みです(4)。同性カップルを認知することが、自治体の標準施策となっていると言えます。地域の国勢調査データを分析しても同性カップルの姿が捉えられないのは困るという声も自治体からあがっているのです。

 

男女事実婚配偶者への保障を同性パートナーにも:各省庁が検討中

 昨年の「同性パートナーも、犯罪被害者給付金の対象となりうる」とする最高裁判決は、それまで一律に「同性パートナーは事実婚配偶者として扱わない」としていた国の方針に風穴を開けました。男女事実婚に与えられている保障の中から、同性パートナーも対象とすべきものについて担当省庁が検討を開始しており、今年1月21日の三原大臣の発表では、24本の法令に関して「同性カップル・パートナーが対象として含まれ得る」と報告しています。そこには、DV防止法や借地借家法など、同性カップルにとって重要なものも含まれていますが、検討が進んでいるのに、今回の調査にて同居同性カップル世帯数を集計すると明言しないのは、大きな矛盾を感じざるを得ません。

 

我々の回答を使って同性カップルの実態を把握すべき

 「結婚の自由をすべての人に」訴訟が5高裁での違憲判決を勝ち取り、11月28日には最後の高裁判決(東京2次訴訟)が下されます。国勢調査は国の政策策定の基盤をなす悉皆(全数)調査であり、投じられる予算は2025年度だけでも687億円(5)と膨大です。最高裁が来年にも最終判断を下す見込みですが、対象となる「同性カップル」世帯の実態については、LGBT理解増進法があっても公的統計が全く存在しません。膨大な資金を投じながら実態を集計しなければ、税金の無駄使いではないでしょうか?
 正式集計で「他の親族との同居」世帯に付け替えられても、同性婚法制化を迫る最高裁判決が下れば、「同居同性カップルのデータが必要だ」との声が高まります。「政府の先手を打って」当事者として実態に即した回答を入れておくことが重要と考えます。

 

回答を躊躇する理由はありません

 結婚したいのにできない当事者カップルのみなさん、図のように回答するのに心配の必要はありません。是非、ご協力をお願いいたします。

国勢調査の回答用紙
氏名及び男女の別について1人目,2人目をいずれも女とした上で、世帯主との続き柄を1人目は世帯主または代表者、2人目を世帯主の配偶者とし、さらに、配偶者の有無を、1人目と2人目ともに配偶者ありにして回答している。なお、配偶者の有無の欄には、「届出の有無に関係なく記入してください」との説明がある。

  • 国勢調査は、戸籍や住民登録とは異なり「実態を明らかにする」全国民調査です。戸籍・住民登録と異なる回答をすることには全く問題がありません。法律婚をしていない事実婚男女カップルの場合にも、戸籍には反映されていないが、その実態を婚姻として回答するのがルールとなっています。住民登録にてカップルそれぞれが別の世帯となっていても、同居して生計を共にしていれば1世帯として回答して下さい。別居の場合は別の住所での別世帯として回答して下さい。
  • お子さんと同居の場合は、子との血縁関係を答える項目はありませんので、養子や連れ子、パートナーの子、里子として養育している子など、すべて「子」として回答して大丈夫です。
  • トランスジェンダーの方は自認の性別で回答して良いとされています。
  • 調査の現場を担当する自治体と調査員にはプライバシーを守る義務が法律上課されています。インターネット回答はそのままコンピュータ処理されると考えられますし、紙の調査票も厳重に管理され、集計完了後に溶かされるなど、個人情報の保護に万全を期しています。自治体スタッフと調査員が、誤記や無回答をチェックする以上に立ち入ることはありません。
  • インターネット回答を既にしてしまっていても、与えられたログインIDと、入力完了後に作成を指示されるパスワードの両方があれば、10月8日まで修正できます。

  マリフォーでは、全国25地域の「結婚の平等にYes!」メンバーや賛同団体の皆様とも協力して、全国の結婚したいのにできない同居同性カップルのみなさんに、実態通り図のように回答しましょうと訴えていきます。調査票とオンライン回答IDが、9月20日から30日にかけて各世帯に配布され、オンライン回答は9月20日から10月1日の実態を入力することが可能です。

 

<参考>2025年国勢調査:国の日程(抜粋)


❍ オンライン回答用ID及び調査票(紙)等の配布:9月20日(土)~9月30日(火)
❍ オンライン回答期間 :9月20日(土)~10月8日(水)
❍ 調査票(紙)の回答・調査員回収の期間:10月1日(水)~10月8日(水)
❍ 調査票未提出世帯の特定及び調査票の督促回収期間 :10月17日(金)~10月27日(月) 

 

出所:総務省統計局「令和7年国勢調査実施計画」(2024.10)
https://www.stat.go.jp/info/kenkyu/kokusei/yusiki07/pdf/07sy0102.pdf

 

(1)2025年3月12日 参議院予算委員会にて、石川大我参議院議員(当時)の質問に、村上総務大臣、総務省統計局長(当時)岩佐哲也氏の両氏の答弁

村上総務大臣「全ての世帯の方々を対象に行う国勢調査は、全国一律の客観的基準で行うことが必要である・・当事者双方の性別が同一である婚姻届は受理されないものと承知・・国勢調査においても、婚姻関係は現行の法制度にのっとった定義で把握しております。・・同性婚の制度が整備され、全国一律の客観的な基準で調査を行うことが可能となれば、国勢調査においても同性婚について把握を検討したい

岩佐統計局長「同性パートナーについては、国としての法制度が整備されていない中、・・個別事情の判断を行うことはできませんので、お住まいの世帯の方が判断された続き柄で御回答いただくこととなっております。その上で、集計に当たりましては、現状の法制度等を踏まえまして、必要な対応を行っている。・・ありのまま御回答いただくということでございまして、そちらが、世帯の方が御判断されているような形で、ありのまま御回答いただければという趣旨・・。」

 

(2)当団体HPニュース(2020.12.9)”【レインボー国勢調査】徳島市長からも、賛同メッセージが!”参照https://www.marriageforall.jp/topics/570/

 

(3)当団体調べ(2025.9.20時点。HPでは随時更新)

https://www.marriageforall.jp/database/partnership/

 

(4)Pride Japan調査、2025.8.26時点。

https://www.outjapan.co.jp/pride_japan/document/6.html?utm_source=chatgpt.com

 

(5)総務省:国の統計関係歳出予算(統計調査計画等に係る歳出予算の概要)

https://www.soumu.go.jp/toukei_toukatsu/index/seido/3.htm