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東京第2次訴訟控訴審 第3回口頭弁論期日(2025年5月20日)
東京弁護団からのお知らせです。
「結婚の自由をすべての人に」東京第2次訴訟控訴審の第3回口頭弁論期日が行われ、東京高等裁判所における控訴審の審理は終結し、判決が【2025年11月28日】に言い渡されることが決定いたしました。
一連の「結婚の自由をすべての人に」訴訟の中で、一番最後の高裁判決となります。札幌、東京1次、福岡、名古屋、大阪に続き、東京2次でも高裁による違憲判決がきっと出ると、私たちは信じています。
皆さま、引き続き応援・ご支援のほどよろしくお願いいたします。
日 時:2025年5月20日 15時00分から16時00分頃
場 所:東京高等裁判所101号法廷
裁判官:東亜由美裁判長、右田晃一裁判官、林史高裁判官(第24民事部)
出 席:控訴人8名 控訴人ら代理人18名 被控訴人代理人4名
【第3回口頭弁論期日の内容】
1 弁論の更新
裁判官3名が交代したため、「弁論の更新」という手続が裁判冒頭で行われました。
2 各書面の提出及び陳述(各書面のURLリンクはこちら)
(1)控訴人ら
控訴人らは、本期日前に下記主張書面を裁判所に提出しました。
・控訴審第7準備書面(社会事実の変化について(2))
(2)被控訴人(国)
被控訴人は、本期日前に下記主張書面を裁判所に提出しました。
・控訴審第1準備書面(控訴人ら第4~6準備書面に対する反論)
3 意見陳述
(1)控訴人藤井さんの意見陳述(意見陳述書要旨全文はこちら)
藤井さんは、福田さんと11年間、人生を共に歩んできました。2021年に提訴してから、5年が経ち、その間に、母を亡くし、大切にしていた猫たちも旅立ちました。「私たちの関係を祝福してくれた母に、日本でも結婚できるようになった姿を見せて、安心させてあげたかった。でも、その願いは、もう叶いません。」とやるせない想いを伝えました。
また、ニューヨークで結婚したことは法的にも社会的にも、正式な夫婦になれた嬉しい瞬間ではあったけれども、他方で、海外でどんなに結婚式を挙げても、日本では何の効力も持たないという現実を訴えました。
最後は、「若い人たちに、私たちと同じ思いをさせたくない。そのためにも、今、変わって欲しいのです。婚姻の平等を認めることで、不幸になる人はいません。幸せになれる人が、ただ一人でも増えるだけです。誰かの幸せが、他の誰かの幸せを奪うことはありません。」と裁判所へ心からの想いを伝えました。
(2)控訴人福田さんの意見陳述(意見陳述書要旨全文はこちら)
福田さんは、50歳になり、人生を振り返ると、私は常に何かを諦めながら生きてきたと語りました。提訴する前までは、同性愛に対する理解が進んでいない環境の中、レズビアンであることをひた隠しにし、社会の期待に併せ、自分を偽ることが当たり前になっていたこと。しかし、40歳で癌を患い、病と向き合う中で、「残りの人生は、パートナーの美由紀と結婚し、自分に正直に行きたい」という強い思いがこみ上げてきたこと。
そして、2023年、NYに出張で3ヶ月滞在した際、「日本で私は幸せではなかったのだ」と気付かされたと述べました。NYの市役所で公的に婚姻を認められた時、NYの職場の上司から大喜びと祝福のメッセージ・プレゼントをもらった時、「妻と妻である」という確かな幸福と安心感に包まれたこと。日本では、結婚を通して得られる幸福と安心が奪われているのだと痛感したことについて、当時の情景が目に浮かぶように語りかけました。
最後は、「ここにいる控訴人一人ひとりの顔を見て、話を聞いて、それでも私たちは結婚をして、祝福を受けるに値しない人間だと、思われますか?」「私たちは何か特別な権利を求めているのではありません。ただ、異性愛者と同じように、結婚をして幸せを追求する選択肢がほしい。生まれ持ったセクシュアリティに関係なく、みんなと同じように尊厳を持って生きる権利がほしい。それだけです。」と静かに、強く、裁判所へ訴えかけました。
(3)控訴人ケイさんの意見陳述(意見陳述書要旨全文はこちら)
ケイさんは、社会生活の中で、自身のセクシュアリティをカミングアウトしていないクローゼットであること、そして、20年以上を共にした同性パートナーのAさんとの暮らしについて、「私たちの関係は、誰かに祝福してもらえることはありませんでしたが、別れのときですら、誰にも頼ることはできませんでした」と語りました。
そして、戸籍謄本を取得した時、そこには20年以上かけて築いたAさんとの関係の痕跡は一文字もなく、彼女の存在が「無いもの」として扱われ、ケイさん自身の人生さえも「なかったこと」のような錯覚に陥ったこと。頭では理解しているつもりでいたが、改めて現実を突きつけられ、「人としての尊厳を奪われたように感じました」と、当時の感情を語りました。
ケイさんは、「自分が誰かと生きる自由と権利が認められているかどうかは、私たち一人ひとりの尊厳に関わる問題です」とはっきりと述べ、この場に立ち、原告・控訴人であり続けるのは、過去の喪失を悔やむためではなく、「自分の人生を、もう『なかったこと』にしないため」であると強く訴えました。
(4)控訴人代理人藤井弁護士の意見陳述(意見陳述要旨全文はこちら 意見陳述要旨・別紙はこちら)
藤井弁護士は、裁判体の構成が変わったことから、本件訴訟のポイントの概要について改めて話をし、詳細については別紙を参照するよう述べました。
そして、本件訴訟固有の意義について、控訴人の一橋さん・武田さんのカップルのように、少なくとも一方が戸籍上の性別変更をしていないトランスジェンダーである為に法律上同性と取り扱われているカップルをはじめ、同性愛者の方々に限らず、多様な性自認、性的指向を有する方々が当事者となっていることを訴えました。
また、一連の「結婚の自由をすべての人に」訴訟の争点は、法律上同性のカップルを家族として保護する制度が何もないことではなく、端的に現行の法律婚制度の利用を認めないことが憲法に違反し、国賠法上も違法と評価されるべきことに収束している点を、改めて強調しました。
(5)控訴人代理人向井弁護士の意見陳述(意見陳述要旨全文はこちら)
向井弁護士は、憲法24条1項違反を認めるべきことを訴えました。
まず、憲法24条1項は、婚姻の対象を法律上異性のカップルに限ることを条文の目的としていないこと、そして、憲法24条1項に関しては、憲法制定後の社会状況等の根本的な社会変化を踏まえ、憲法の基本原理に照らし、その解釈をアップデートする必要があると強調しました。
そして、原判決の誤りについて、大きく2点を述べました。具体的には、①憲法制定後の社会状況等の変化に関する事実認定及びその評価について、「法律上同性のカップル等の婚姻の自由を保障するよう要請するには至っていない」と結論付けたこと、②社会的承認論を持ち出して、少数の反対意見を過度に重視し、法律上同性のカップルに対する婚姻の自由の保障を否定する根拠としたこと。
最後に、「私たちは、多くの人にとってあたりまえの暮らしを求めています。ただそれだけです。」「これまでの歴史的判決がそうであったように、社会が進むべき新しい方向を積極的に示していただくよう、司法の役割を期待しています。」と強く訴えました。
(6)控訴人代理人増井弁護士の意見陳述(意見陳述要旨全文はこちら)
増井弁護士は、憲法14条違反、24条2項違反を認めるべきことを訴えました。特に、現行の法律婚制度とは別の制度を設けることは、かえって差別を生むことを強調し、法律上同性のカップルに対し、現行の法律婚制度の利用を求めることが要請され、それ以外の代替的別制度の構築では、憲法違反の問題を解消できないと述べました。
また、一連の「結婚の自由をすべての人に」訴訟においては、いずれの地裁・高裁判決においても、国家賠償請求は認められていないところ、もはや国家賠償請求を認容する判決をすべきであると話をしました。国会や政府に対して、猶予を与えないで欲しい、これまでの経過からすれば、国会や政府による司法判断の無視が続くことが容易に窺われることから、「裁判官の皆様がなすべきことは、本件諸規定の違憲性のみならず、国賠法上の賠償責任を認めることにより、国会に対して立法措置を促す更なる強い警告を発すること」である、と強く訴えかけました。
4 期日でのやり取り
意見陳述を終えた後、裁判所からは、本日結審することの確認、次回は判決言い渡し期日となることの確認が行われました。
5 今後の予定
裁判所から、判決言い渡し期日として、以下の期日が指定されました。
2025年11月28日(金)11:00
判決言い渡し期日(公開の手続・傍聴可能)
@東京高等裁判所101号法廷
6 期日報告会
【オンライン期日報告会】
YouTubeとリアルのハイブリッド期日報告会を実施し、生配信をしました(アーカイブがこちらから見られます。)。
日 時:2025年5月20日(火)16:30~17:30
登壇者:(控訴人)藤井さん、福田さん、鳩貝さん、河智さん、山縣さん
(控訴人代理人)沢崎弁護士、藤井弁護士、増井弁護士、向井弁護士、井上弁護士(司会)
7 その他のお知らせ
<X(旧Twitter)>
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<CALL4>
裁判所への提出資料等は、準備でき次第、公共訴訟支援サイトCALL4のケースサイトにて可及的速やかに公開する予定です。CALL4ケースサイト⇒ https://www.call4.jp/info.php?type=items&id=I0000031
<ご寄付>
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