最新情報

国会関係

2021.10.20

  • Facebook
  • Instagram

【選挙情報】結婚の平等(同性婚)に関する各政党の考え~政党公開質問状への回答~

1018日までに次の各政党に送付した結婚の平等(同性婚)に関する各政党の政策・考え方を質問する公開質問状への回答(→公開質問状の詳細についてはコチラ)が、1019日、以下の9政党から集まりました。

 

9政党:自民党(以下「自民」)、立憲民主党(以下「立民」)、公明党(以下「公明」)、共産党(以下「共産」)、日本維新の会(以下「維新」)、国民民主党(以下「国民」)、れいわ新選組(以下「れいわ」)、社民党(以下「社民」)、NHKと裁判してる党弁護士法72条違反で(以下「NHK党」)

 

9政党中、公明党含む5政党が「同性間で婚姻ができるようにするべきだ」と回答

 

与党を構成する公明をはじめ、立民、共産、れいわ、社民の5政党が、婚姻とは別の制度であるパートナーシップ制度の法制化ではなく、「同性間で婚姻ができるようにするべきだ」と回答しました。

 

上記の5政党以外の4党(自民、維新、国民、NHK党)は、「その他」を選びました。

 

具体的には、維新は、同性間で婚姻ができるようにするべき、または、婚姻とは別の制度であるパートナーシップ制度を法制化すべきと述べた上で、同性婚の制定が望ましいと述べつつ、同性婚には憲法や関連法との関係整理を含め多くの課題があるとし、婚姻とは別の制度であるパートナーシップ制度を法制化することも視野に入れていくとの意見です。

 

一方、自民、国民、NHK党は、同性間で婚姻ができるようにするべきとの内容を含む回答をしませんでした。

自民は、現行憲法下では同性カップルに婚姻の成立を認めることは想定されていないという政府の立場と同様と述べた上で、一部自治体のパートナーシップ制度さえ、是非を含め慎重な検討が必要と述べています。

 

国民は、法整備が必要と言うものの、パートナーシップ制度の拡充・法制化の検討などが例にあげられるに留まっています。

 

NHK党は、同性婚における最大の障壁を憲法24条の「婚姻は、両性の合意に基づいてのみ成立」という部分にあるとし、憲法改正を検討するべき、との意見です。

(同性婚と憲法については、この記事の後半で詳しく記載していますのでそちらをご覧ください)

 

9党中7政党が、同性婚法制化の検討・審議を「今すぐ、なるべく早く」開始すべきと回答

 

与党である公明党を含む7政党(立民、公明、共産、維新、国民、れいわ、社民)は、「同性婚に関する検討・審議を、政府機関 や国会の公式の場にて今すぐ、なるべく早く開始すべき」と回答しています。

「今すぐ、なるべく早く」を選ばなかったのは、自民とNHK党のみでした。

 


実際の質問内容と回答一覧

【質問内容】

質問1.     (法律上)同性のカップルには、どのような法的保障を法制化すべきだとお考えですか?        婚姻ができるようにするべきだ 婚姻をできるようにするのではなく、婚姻とは別の制度であるパートナーシップ制度を法制化すべきだ 婚姻、パートナーシップ制度問わず、同性カップルへの法的保障は不要である 答えられないまたは分からない その他 (自由に記述下さい)      5.の回答、または上記の他の選択肢に補足があればご記入ください。

質問2.     2015年に安倍首相(当時)が、また本年2月に菅首相(当時)が、結婚の平等に関して国会にて問われた質問に対し、「憲法では想定されていない。我が国の家族のあり方の根幹に関わる問題であり、極めて慎重な検討を要する」と、ほぼ同内容の政府見解を繰り返し答弁してきましたが、政府機関や国会の公式の場では、同性婚を(あるいはいかなる形での同性カップルの法的保障も)検討・審議している形跡がありません。検討・審議開始のタイミングをどうお考えですか?         1. 今すぐ、なるべく早く    2. それ以外        質問3.    質問2.で「2.それ以外」の選択肢を選んだ政党にお伺いします。安倍首相および菅首相が「検討を要する」と答弁したにもかかわらず、今すぐ検討・審議を始めない理由に関して、下欄にご回答ください。  

 

【各政党の回答】

 ​  質問1. 同性のカップルにはどのような法的保障を​     法制化すべき?​  質問2. いつ検討・審議開始?​  質問3. 今すぐ検討・審議を始めない理由​  自民​  5.その他​  “「憲法24条は、婚姻は、両性の合意のみに基づいて成立すると定められており、現行憲法の下では、同性カップルに婚姻の成立を認めることは想定されておりません」というのが政府の立場であり、わが党も同様に考えています。また、一部自治体が採用した「パートナーシップ制度」について、国民の性的指向・性同一性に対する理解の増進が前提であり、その是非を含めた慎重な検討が必要あるものと考えます。”​  ​  2.それ以外​  “わが党といたしましては、性的指向・性自認(LGBT)に関する広く正しい理解の増進を目的とした議員立法の速やかな制定を実現するとともに、民間や各省庁が連携して取り組むべき施策を推進し、多様性を認め、寛容であたたかい社会を築いていきます。通常国会での成立はなりませんでしたが、引き続き様々なご意見を伺いながら法律案の成立を図ってまいります。尚、今回の公約にも性的指向・性自認(LGBT)に関する広く正しい理解の増進を目的とした議員立法の速やかな制定を実現すると記載しております。”​  立民​  1.同性間で婚姻ができるようにするべきだ​ “立憲民主党は、同性婚を可能とする法制度の実現を目指します。”​  1.今すぐ、なるべく早く検討・審議開始​  公明​  1.同性間で婚姻ができるようにするべきだ​ “同性婚については国民的議論を深めつつ、必要な法整備に取り組みます。”(同党「2021衆院選マニフェスト政策集より」)​  1.今すぐ、なるべく早く検討・審議開始​  共産​  1.同性間で婚姻ができるようにするべきだ​ “法制化は急務です。LGBTQはどの社会に会っても存在します。あらゆる分野の権利保障が必要です。今年3月の札幌地裁判決は、同性婚を認めないことを違憲としました。立憲・共産・社民3党は、2019年6月に同性婚を可能とする民法改正案を衆議院に提出しています。”​  1.今すぐ、なるべく早く検討・審議開始​  維新​  5.その他​ “婚姻ができるようにするべきだ”または“婚姻とは別 の制度である パートナーシップ制度を法制化すべきだ”​ 同性婚を制定できるのが望ましいが、憲法や関連法との関係整理を含めて多くの課題がある。いわゆるパートナーシップ制度の法制化により、当事者たちの不利益をまずなくしていく・減らしていくという選択肢も視野に入れながら、同性婚問題の解決をリードしていく。​  1.今すぐ、なるべく早く検討・審議開始​  国民​  5.その他​ “パートナーシップ制度の拡充・法制化の検討や、戸籍変更要件の緩和など、性的指向・性自認(SOGI)に関する課題解消に向け、トータルでの論議・検討の加速と法整備が必要と考えます。”​  1.今すぐ、なるべく早く検討・審議開始​  れいわ​  1.同性間で婚姻ができるようにするべきだ​ ​  1.今すぐ、なるべく早く検討・審議開始​  社民​  1.同性間で婚姻ができるようにするべきだ​ ​  1.今すぐ、なるべく早く検討・審議開始​  NHK​  5.その他​ “憲法24条にある「婚姻は、両性の合意に基いてのみ成立」という部分が同性婚における最大の障壁となっているので、これを解決するには憲法改正を検討すべきです。このような趣旨のアンケートを行う際には、憲法24条や憲法改正に関する選択肢を設けるべきです。”​  2.それ以外​ “同性婚の合法化のためには憲法24条の改正をすべきですが、国会においては一部の野党が憲法審査会の開催になかなか協力しないために、憲法改正が進みません。このような野党が同性婚の合法化に対して足を引っ張っていると考えるべきでしょう。”​

 

 

 なお、上記回答の中に、同性婚と憲法を関連させた回答がありますが、以下に述べますとおり、憲法は同性婚を禁止しておらず、同性婚法制化にあたって憲法改正の必要ありません。したがって、同性婚法制化の上で、憲法が障壁となることはありません。

*同性婚の法制化に、憲法(241項)の改正が必要ない根拠を端的に指摘すると

・そもそも、同性間の婚姻の法制化を禁止するとの趣旨を明示的に示した憲法の条文はない。

・「結婚の自由をすべての人に」訴訟の全国6訴訟において、被告である国は憲法が同性婚を禁じているとの主張を行ったことは無い。国会の政府答弁でも同様である。上記の自民党の回答の中でも「想定されておりません」とあるのみで、憲法が同性婚を禁止しているとは述べています。

・憲法241項が同性間の婚姻を禁止しているという主張は、学説上もほとんど存在しない。

・憲法制定時の資料から確認できるとおり、憲法241項は、婚姻が当事者以外の第三者(戸主や父母) の意思によって妨げられず当事者の自由な意思によって成立すべきことを示したものである。したがって、同性間の婚姻を禁止する趣旨で「両性の合意のみ」と規定したわけではない。

  

詳しくは、下記のリンクから、候補者・議員向けのパンフレットのp7をご参照ください。

 候補者・議員向けパンフレット

 

 

 

本記事では、政党ごとの同性婚に対する考え等をお伝えしましたが、候補者ごとに考えを知りたい場合は、今回の衆院選では、以下のサイトが参考になります。

 

マリフォー国会メーター:https://meter.marriageforall.jp/ 

朝日新聞社・東京大学谷口研究室調査:https://www.asahi.com/senkyo/shuinsen/2021/asahitodai/

 zero選挙: https://www.ntv.co.jp/election2021/research/

 

 以上、皆さんの投票を考える際、あるいは候補者や政党に要望を届ける際に、ぜひ参考にして下さい!


BACK